高齢化社会を支える「地域包括ケアシステム」

高齢化社会を支える「地域包括ケアシステム」

少子高齢化がすすんでいる今の日本では「人生90年時代」が到来するとして、新しい社会への転換がすすめられています。ここでは自立した生活が最期まで送れるように必要な医療や介護、福祉サービスを一体的に提供し、すべての世代で支えられるまちづくりの仕組み「地域包括ケアシステム」についてまとめていきます。

2025年には四人に一人が高齢者

2025年には四人に一人が高齢者

高齢者といわれる65歳以上の人口は1995年には4,000万人ほどでしたが、20年後の2015年には倍の8,000万人ほど高齢者の人口は急速に増えています。高齢者の増加はこれからも加速していくことが予測されており、2025年には総人口の30%を高齢者が占めるといわれています。

「地域包括ケアシステム」の考え方

「地域包括ケアシステム」の考え方

地域包括ケアシステムとは少子高齢化がすすんで税収が減少し、社会保障費が増大したためこれ以上介護保険などの公費だけで賄うのは無理だ、と判断した国が打ち出した政策のひとつです。しかしながら、地域包括ケアシステムの内容は各自治体が地域の特性に応じて創りあげていくため、厚生労働省が打ち出したのは基本の構成要素「介護」「医療」「予防」「生活支援」「住まいと住まい方」の5つのみです。
この基本構成要素を総合的かつ一体的に提供することが地域包括ケアシステムの目的ですが、まずは生活の基本となる「住まい」を確保し、安定した生活を送るために「生活支援」を提供することが大切です。これらの土台がしっかりとしてはじめて「介護」「医療」「予防」が効果的になるのです。

メリットは医療と介護の連携サービス

メリットは医療と介護の連携サービス

地域包括ケアシステムが構築されることで、「住み慣れた地域で自分らしく暮らすことができる」というメリットを得ることができます。なぜなら、医療と介護の連携サービスが期待できるからです。これまでは医療と介護の連携が難しかったため、医療ケアが必要な要介護者に対して柔軟なサービスを提供することはできませんでした。ですが、「介護」や「医療」などの基本構成要素を一体的に提供することが目的の地域包括ケアシステムが構築されることにより、在宅医療サービスと介護サービスがきちんと連携できるようになるため、必要なときに柔軟にサービスを提供できるようになったのです。これにより、医療依存度が高い要介護者も自宅で今までどおりの生活を送ることも可能になりました。
また、地域包括ケアシステムが構築されると高齢者一人一人のニーズに合わせて、日常生活に欠かせない買い物や調理、掃除やゴミ出しなどの家事サポートや外出サポート、見守りなどの生活支援サービスも柔軟に対応できるようになりました。地域で相互的に関わり合い社会に参加することで、自分の生きがいを見つけたり介護予防につなげたりといった効果も期待できます。

「在宅医療」は今後もニーズが増していく

「在宅医療」は今後もニーズが増していく

医療依存度が高い人が住み慣れた地域で今までどおりの生活を送るためには欠かせない「在宅医療」は今後もさらにニーズが増していくことが予想されますが、適切な医療や介護を提供するためには医師や看護師、介護士などがチームになって連携することが必要です。
地域連携においてどのような目標を持って、どのような医療を実践すればいいのか、実在のモデルを参考にして考えてみましょう。こちらの【次代を担う医療者のための 地域医療実践読本】では地域包括ケアシステムや在宅医療のポイントが分かりやすく解説されているのでぜひ参考にしてみてください。

この書籍では患者さんの多様なニーズに応えるためにはどうすればいいのか、地域医療を継続するにはどうすればいいのか、などが詳しく書かれています。

次代を担う医療者のための 地域医療実践読本

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    他職種の人たちと連携しながら治療をすすめていくチーム医療をスムーズに実践するために欠かせないのが良好な人間関係です。もし人間関係が悪ければ連携が取れないため、チームとして上手く機能できず治療をすすめていくことが難しくなってしまうでしょう。お互いに信頼し合い、協力することでチームとしてまとまることができます。

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    高齢化社会の加速が問題となっていますが、これを解決する手立てのひとつとして注目を浴びているのが、医療と介護が連携でしたチーム医療です。これまでは連携が不十分だったため適切な在宅医療サービスを行うことができませんでしたが「地域包括ケアシステム」が構築されたことで、必要なときに必要なサービスを提供できるようになりました。

  • 基本の考え方

    基本の考え方

    チーム医療とは各専門分野のスペシャリストが集まって技術や知識を出し合い、連携しながら病気やケガを治療していくことです。これまでは病気やケガの患部ばかりを診て治療していましたが、チーム医療では患部だけでなくその人の心理や社会的な側面などを総合して診るため、より患者さんに合った適切な治療を行うことができます。