今、チーム医療が求められている
患者さんの多様なニーズや医療の高度化に対応するために有効だといわれている「チーム医療」。各専門分野のスペシャリストたちが集まって連携することで、これまでは実現することができなかった治療ができたり、日本が抱える高齢化社会の問題にも対応できると大きな期待が寄せられていますが、メリットばかりではありません。他職種の人たちが集まってチームを編成しているため、患者さんに対する意見が食い違ってなかなか治療をすすめることができない、連携が取れずチーム医療として上手く機能しない、といった問題もあります。
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基本の考え方
各専門分野のスペシャリストが集まって、患者さんの治療を行うチーム医療は病気やケガを患部ではなく身体全体で診るため、患者さんにとってメリットが多い治療法です。たとえば、最近大きな問題になっている糖尿病や高脂血症などの生活習慣病。今までは医師が診察し、必要な治療を看護師が行い、薬を薬剤師が処方していましたが、チーム医療では医師の診察外の食事療法や生活指導を栄養士や医療福祉が分担してチーム全体で治療にあたることができるため、患者さんを総合的に診ることができます。
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高齢化社会を支える「地域包括ケアシステム」
少子高齢化がすすんでいる今の日本ですが、2025年には高齢者がさらに増加し人口の3割を高齢者が占めるようになると予想されています。高齢者が増えるということは医療や福祉の問題が今まで以上に起こる可能性がありますが、それを少しでも避けるために国が打ち出した政策が「地域包括ケアシステム」です。これは医療と介護を連携してこれまで実現が難しかった在宅医療サービスを柔軟に提供し、地域全体で高齢者を支えていく仕組みです。
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メリットはあるが困難な部分も多い
患者さんを総合的に診ることができるチーム医療ですが、そう簡単に実践することはできません。他職種の人たちと連携して治療しますが、職種が違うため専門知識や視点も違うため患者さんの見方に違いが生じて意見が食い違ってしまう可能性があるからです。専門分野の違う人たちと目的や意識をすり合わせていくことは難しいため、連携が取れずチーム医療が上手く機能しない場合も十分にあり得ます。お互いの意見を上手く融合するように調整していきましょう。